ここ1年、過去に無いほど原材料の価格が上昇しています。
パン屋の本丸と言っても良い、小麦粉の価格改定のお知らせが遂に届きました、、、
例年ですと小麦粉の価格改定は春と秋に2回あります。
この1年は小麦価格を取り巻く情勢が不安定だったこともあり、
前回秋の改定は行われませんでした。
今回は1年ぶりの価格改定になります。
日清製粉さんから発表された価格改定額が下記になります。
4、5に関しては私独自で入手した価格になります。
業界の慣例?として、日清製粉さんが業界最速です。
小麦粉改定額(価格は全て25kg当り)
- 強力系小麦粉 +235円
- 中力系・薄力系小麦粉 +135円
- 国産小麦100%小麦粉 +30円
- デュラム小麦粉 −355円
- フランス産小麦粉 +800円
詳細は日清製粉さんのプレスリリースをご覧下さい。
なぜ改定価格にこんなに幅があるの?
価格改定幅が「−355円〜+800円」と値幅があります。
この記事では1〜5の価格決定方法を順番に説明していきます。
まずご理解いただきたいことは
「小麦」と「小麦粉」は別物です。
- 製粉会社は「小麦」を仕入れる(粒の小麦、小麦粉ではない)
- 仕入れた小麦を製粉する
- 「小麦粉」として販売する
こちらをご理解の上、下記を読み進めていただくと分かりやすいと思います。
①国産小麦100%小麦粉
まずは理解しやすい「国産小麦100%小麦粉」から解説します。
こちらに関しては「需給」が価格を決めていると思っていただいて構いません。
国産小麦は生産者と製粉会社との間でセリや相対取引が行われています。
この仕入れた国産小麦を製粉会社さんが製粉し、
仕入れ値から計算した販売価格が今回の「国産小麦100%小麦粉」の価格になります。
現在、政府は国産小麦価格への直接関与はしていません。
②強力系小麦粉
次に強力系小麦粉です。
強力系小麦とは主にアメリカ産、カナダ産の強力小麦です。
こちらは政府が小麦を輸入し価格を決定し、各製粉会社へ卸しています。
各製粉会社へ同じ価格で卸していると推測されます。
この卸値を元に今回の「強力系小麦粉」の価格が決定されます。
過去1年は特殊な1年となり、政府が価格上昇を抑えたり、
「価格変動が激しい時期」を除いた期間で政府売渡価格を決定しています。
詳しくは農林水産省のホームページをご覧下さい。
③中力系・薄力系小麦粉
こちらに該当する小麦は主にオーストラリア産の中力小麦、
アメリカ産の薄力小麦、国産の小麦です。
オーストラリア産中力小麦、アメリカ産薄力小麦の価格決定の方法は②と同様、
国産小麦は①と同様です。
中力系・薄力系小麦粉は輸入小麦粉と国産小麦粉をブレンドしたものがあり、
販売価格は①と②の要素が相まって決まります。
④デュラム小麦粉、フランス産小麦粉
デュラム小麦粉は主にパスタ、パンに利用されます。
フランス産小麦粉は主にパン、菓子に利用されます。
これらは②のアメリカ産、カナダ産の強力粉のとは違う流れで販売価格が決まります。
ここからは予想になることをお許しいただき、ご覧下さい。
この2種類は政府から購入している訳ではなく、
製粉会社さんが直接海外から輸入していると思われます。
(政府が売り渡す5品種に含まれていない為)
その為、小麦相場や為替の影響を直接的に受けます。
また、輸入にかかる関税の負担もあります。
②、③に関しては輸入関税はかかりません。
(その代わりマークアップと呼ばれる金額が上乗せされます。
一般的に輸入関税よりマークアップの方が少額です。)
私はフランス産のT45(主に菓子用)を愛用してる為、
この800円アップは結構辛いです。汗
まとめ
全体的に事前の予想よりマイルドな値動きになりました。
強力粉+235円からは直近1年の小麦相場の急騰を感じさせません。
政府の食糧需給と価格の安定への配慮を感じることが出来ます。
以上、小麦粉の価格の決まり方について解説しました。
参考になれば幸いです。